「マネタイズ戦略」は成熟産業に務める方へおすすめ。
皆さんは「マネタイズ」という言葉の意味をご存知ですか?
昨年末に本屋でタイトルに引かれ購入。今年1最初の1冊となりました。
目次
1)マネタイズ戦略とは
2)「顧客価値提案」と「マネタイズ」の融合で考える
3)8つのケースで学び、事業を分析する力を養う
4)ぜひ成熟産業に務める方に読んでもらいたい
1)マネタイズ戦略とは
「マネタイズ戦略 ー顧客価値提案にイノベーションを起こす新しい発想」はビジネスブレイクスルーの客員教授でもある川上昌直氏の著書です。
川上昌直(かわかみ・まさなお)博士(経営学)兵庫県立大学 経営学部 教授 ビジネス・ブレークスルー大学 客員教授 「現場で使えるビジネスモデル」を体系づけ、実際の企業で「臨床」までを行う実践派の経営学者。 初の単独著書『ビジネスモデルのグランドデザイン』(中央経済社)は、経営コンサルティングの規範的研究であるとして第41回日本公認会計士協会・学術賞(MCS賞)を受賞。ビジネスの全体像を俯瞰する「ナインセルメソッド」は、さまざまな企業で新規事業立案に用いられ、自身もアドバイザーとして関与している。また、メディアを通じてビジネスの面白さを発信している。そのほかの著書に『儲ける仕組みをつくるフレームワークの教科書』(かんき出版)、『ビジネスモデル思考法』(ダイヤモンド社)、『そのビジネスから「儲け」を生み出す9つの質問』(日経BP社)など。
出典:Amazon商品紹介ページ
私は自身、成熟産業に努めています。市場は多少の拡大はしているものの、プレイヤーが多く行き詰まり。日々の業務を行いつつもいかに現状を打破し、改めて成長路線に乗るか頭を悩ませています。そんな時、本屋で本書を見つけました。
ビジネスは、顧客価値とマネタイズ(収益化)の2つの組み合わせである。
しかし、多くの日本企業においては、「顧客を満足させる」という価値提案ばかりに関心が行き、「企業が利益を得る」というマネタイズがおざなりになっている。 顧客への価値提案がどんなに優れていても、マネタイズが伴わなければビジネスは続けられない。
本書は携わる事業をどのように磨いていくか、考えに行き詰ったときの新しい切り口を与えてくれました。下記で紹介していきます。
2)「顧客価値提案」と「マネタイズ(収益化)」の融合で考える
「顧客が満足する製品やサービスを提供し、利益を得る仕組み」これが企業それぞれのビジネスモデルにあたるものです。
ほとんどの企業において、「顧客を満足させる」という顧客価値提案ばかりに関心と注目が行き、肝心の「企業が利益を得る」というマネタイズがおざなりになっている。
と筆者は指摘し、また
顧客価値提案のみではなく、マネタイズの視点を取り入れることで、新たな発想やブレークスルーが可能になるのだ
と主張しています。
私自身の環境においてはとても納得の行く主張でした。私の経験から使え加えると、マネタイズをおざなりにしている企業は「顧客価値提案を考える」⇒「利益が出ない」⇒「コスト抑制命令を出す」⇒「顧客価値提案を行う余力がなくなる」という悪循環に突入します。
そんな悪循環の中にいる企業や担当者においてマネタイズを同時並行に考えるというスタンスは非常に重要だし、悪循環を脱する出口となると思います。
実際、私自身が出口を示されたように感じています。
3) 8つのケースで学び、事業を分析する力を養う
本書では8つのケースで「顧客価値提案」と「マネタイズ」を融合を学びます。
第1章 価値提案のイノベーションをマネタイズで補完する テスラ
第2章 地域コミュニティをマネタイズで表現する ピーターパン
第3章 思いを貫くために非常識なマネタイズに挑む LDK
第4章 マネタイズ革新で顧客を魅了し続ける Netflix
第5章 マネタイズの変革が新たな価値提案を発見させる デアゴスティーニ
第6章 マネタイズ先行でビジネスの大転換を図る アドビシステムズ
第7章 マネタイズと価値提案のつながりが創造性を強くする マーベル
第8章 マネタイズの枠組みを超えて世界を変える Ecole42(forty two)
例えばテスラのEVのケース
テスラモーターはネットと車をつなぐことを前提に新しい体験の提供とそれに合わせたマネタイズの実現を行っている。
<これまでの自動車産業>
顧客価値:ものづくりの結晶である「自動車」
マネタイズ:1台あたりの販売に応じて利益を得る
↓
<テスラの場合>
顧客価値:アップグレードする革新的な移動体験
マネタイズ:アップグレード課金、ハイエンドの収益をエントリークラスへ
車産業は大資本が市場を押させていました。車を作り、販売、収益を得るという誰もが疑わない業界慣行をひっくり返してしまいました。
8パターンを読み終え、サービス・ビジネスを見る視点1つ増えた感覚です。
実際に自身が使っているサービスや最近成長している事業を「価値提案」と「マネタイズ」の切り口で分析することで力をつけたいですね。
4)ぜひ成熟産業に務める方に読んでもらいたい
筆者は以下を想定読者としていますが、私は「成熟産業」に努めていてるビジネスパーソンを追加したい。
・事業変革を試みる大企業の経営陣
・新規事業創出を任されるプロジェクトリーダー
・業界の覇権をくつがえそうとする起業家とその予備軍
・すでにチームの舵取りを任された方
・新たなビジネスの方向性を模索するビジネスパーソン
私の担当は営業と販促の企画ですが、大きな変化もなく成功法に乗っ取りマネジメントを行うまででした。閉鎖感が満載で業績はもちろんメンバーのモチベーションも上がりません。
たまたま手にした本ですが「成熟産業」「斜陽産業」に努めている方にはぜひ目を通して頂きたい1冊です。